株式会社ニチリン　情報システム部 部長　
笠松 敬三 様

約30年前に構築した基幹システムの限界

今まで使用していた基幹システムは、約30年前にCOBOLで開発したシステムをベースに形作られたものでした。製品数や取引先数が増加し販売形態が多様化する中、情報システム部が自社開発で対応していましたが、無理も多く余分な工数が発生していました。各営業拠点が情報システム部の負荷の増大を気遣い、AccessやExcelを駆使し対応するようになりました。しかし、Microsoft Officeやパソコンのバージョン更新がある度にAccessやExcelの検証や不具合対応が必要になり、結局工数が増えるだけの負のスパイラル状態に陥っていました。この状態を抜け出し、より会社に貢献できる取り組みに注力できる状態にするため、基幹システム刷新を検討しました。

グローバル化に対応できるSAP S/4HANA、顧客の状況に合わせて柔軟に提案できるソフテスを採用

将来的には国内外子会社の受注情報を一元管理したいとも考えており、グローバル化に対応できるSAP S/4HANAを新システムとして選びました。システムの導入は、プロジェクトマネージメント、導入スケジュール、費用、保守サポート等、様々な項目を総合的に判断し、ソフテスにお願いすることにしました。ソフテスでSAP ERPを導入した企業の方に、「ソフテスは小回りが利き柔軟な対応ができる」と聞いていましたが、稼働後の今となってもその通りだと思います。提案においても、弊社の状況を見た上で「こういう導入の仕方が良いのではないか」と柔軟な提案をしてくれるベンダーは、他にはいませんでした。

SAP S/4HANA導入により、営業拠点の業務を標準化、メンテナンスから解放

本導入プロジェクトは、対象を販売管理に絞りリスク軽減を図りました。導入プロジェクトのコアコンセプトに、①ユーザー完結型（いつでも、どこでも、誰でも）②標準機能で対応（パッケージに業務を合わせる）③業務改革の3点を掲げました。導入の初期段階で、改善したい重要テーマをソフテスとリストアップし、プロジェクトに参加する全員で認識合わせを行いました。そして現行の業務プロセスをそのまま採用するのではなく、SAPに用意された標準機能をベースに再構築していきました。
従来、取引先ごとに開発していた受注データの取り込み処理をパターン化・マスタ化、それによりAccessやExcelの個別プログラムを一掃、各営業拠点・取引先ごとに異なっていた業務を標準化することができました。その結果、約1300本ものCOBOL等のプログラムが廃止となり、メンテナンスにかかっていた工数を削減することができました。また、今までデータの変更や抽出は情報システム部が行うことが多く、約320本の帳票がありましたが、約8割を削減することができました。今では営業拠点の担当者がいつでも出力でき、またSAP S/4HANAの画面を見ながら対応することができるようになっています。

稼働後も月2回のミーティング、積極的な改善活動の定着

今までは、営業拠点ごとに異なるやり方・考え方でした。導入プロジェクトでは、各営業拠点のパワーユーザ（一連の業務プロセスを理解された方）が顔を合わせて実際にSAP S/4HANAを触りながら、自分の業務領域だけでなくその前後工程も理解した上で新しい業務プロセスを検討していきました。そのように進めていくうちに、同じ業務のやり方に変えないといけない、標準化しないといけない、という気運が生まれました。
また、メンテナンスにかかっていた工数が削減できた分、改善に時間が取れるようになりました。今でもプロジェクトに参加した各営業拠点のパワーユーザが、月2回は意見交換や改善活動に取り組んでおり、非常に良いことだと思っています。導入が成功したことを考えると、全てにおいてソフテスを選んで正解だったと思います。

常に新しいことにチャレンジできる体制に

今回導入した販売管理以外の部分にもSAP S/4HANAを展開したいです。また、連携可能な周辺ソフトも多いと思います。RPA等を使った更なる業務の自動化・効率化が可能となるだけでなく、業務自体のアウトソーシングも可能になると思っています。分析や予測、グループ全体の受注データの一元化等々、常に新しいことにチャレンジできる体制に変えていきたいです。