SAPコンサルタントの魅力 その2

Column No.23

 早春の光が少しずつ柔らかさを増してくる頃、朝の空気の中にもどこかほぐれた気配が感じられるようになります。庭のミモザ(アカシア)は日差しを受けて黄色に染めた穂先を身にまとい静かに春の準備をしています。冬の間じっと力を蓄えていた木々が、やがて訪れる季節の変わり目を静かに告げているようです。

 前回のコラムでは、SAPコンサルタントの魅力の一つとして「システム構築の専門家」の側面をご紹介しました。SAPという企業の基幹システムを構築し、企業活動を支える仕組みをつくり上げる仕事です。

 しかし、SAPコンサルタントにはもう一つの重要な側面があります。それが「経営・業務コンサルタント」としての役割です。これは直接システムを構築する仕事ではありません。企業の業務の姿そのものを見つめ直し、より良い経営と業務のあり方を考え、その実現を支える仕事です。

 この役割においてコンサルタントが担う最も重要な仕事は、構築するシステムの全体像を描き、その実現を導くことです。そのためにはまず、お客様の経営管理や業務の現状を丁寧に調査します。現場ではどのように仕事が行われているのか、どこに無理や無駄があるのか、どのような改善が望まれているのかを理解することが出発点になります。

 次に、その調査を踏まえ、お客様が期待する管理や業務の改善策を考えます。新しい業務プロセスや管理方法の整理を行い、お客様と議論を重ねながら合意を形成していきます。そしてプロジェクトが進む中では、さまざまな課題が必ず発生します。部門間の調整、運用方法の検討、現場の不安の解消など、プロジェクトを前に進めるための支援も重要な役割です。

 このような過程を経ることで、単なるシステム導入ではなく 「企業の業務をより良くする仕組み」 としてのシステムが完成します。特に重要なのは、改善策を考える力と、お客様の現場メンバーを支援する姿勢です。現場の人々と一緒に考え、一緒に悩み、一緒に形を作る。その積み重ねが良いプロジェクトを生み出します。

 こうした業務コンサルタントには、会計、購買、在庫管理、生産管理、販売、出荷など、企業活動のさまざまな業務プロセスに関する理解が求められます。コンサルタントとして多くのプロジェクトの経験や実際の業務の流れを経験していることが大きな力になります。

 こうした役割を担うコンサルタントは、業務系コンサルタント、サプライチェーンコンサルタント、あるいはビジネスコンサルタントなどと呼ばれます。企業の業務を深く理解し、その経験をもとに新しい仕組みを作り上げていく。そこには大きな知的な面白さと、企業の変革に立ち会うやりがいがあります。

 夕方の空に少しずつ春の色が混じり始める頃、庭の木々の枝先にも小さな芽が顔を出し始めます。冬を越えた芽がやがて大きく花開くように、人の経験もまた、新しい場所で思いがけない花を咲かせることがあります。

2026年3月17日

本コラムを執筆したのは

株式会社ソフテス 取締役会長 鈴木忠雄
名古屋工業大学経営工学科を卒業後、川崎重工業(株)に入社。1972年にヤマハ発動機(株)へ移り、技術管理部長や舟艇事業部長を歴任。1997年に(株)ソフテス設立に参画し、2000年より代表取締役社長、のちに会長に就任。著書『経営改革のためのERP導入』で「ユーザダイレクト方式」を提唱し、経営・業務に根差したデータ活用の重要性を説き、企業経営の未来を見据えた活動を続けている。

本コラムを執筆したのは

株式会社 ソフテス 取締役会長 鈴木忠雄

名古屋工業大学経営工学科を卒業後、川崎重工業(株)に入社。1972年にヤマハ発動機(株)へ移り、技術管理部長や舟艇事業部長を歴任。1997年に(株)ソフテス設立に参画し、2000年より代表取締役社長、のちに会長に就任。著書『経営改革のためのERP導入』で「ユーザダイレクト方式」を提唱し、経営・業務に根差したデータ活用の重要性を説き、企業経営の未来を見据えた活動を続けている。