新入社員の皆さんへ

Column No.05

 満開の桜に迎えられてピッカピカの一年生を街のあちらこちらで見かけます。はじめてママと離れて過ごす幼稚園の年少児、ピッカピカのランドセルを背負った小学校一年生、パリッとスーツを身にまとった社会人一年生。皆さん緊張と未来への期待に胸をわくわくさせながら、新しい世界への船出です。

 わが社でも9名の新卒の社員を迎えました。彼らに一刻も早く、大きく育ってもらうためにこれからどう過ごしたら良いか少しばかり御託を並べてみました。
 まず、大事なことは、基礎的な作業の処理能力を高めること。ビジネス用語や専門用語の意味やその使い方、文書の作成、電子メールの使い方、電話、各種のビジネスマナーなど、実務的なことから社会人的なことまできちんと覚え、正確に、迅速にできること。基礎的なことでつまずかないことです。
 次に、一度聞いたことは忘れないこと、曖昧なこと、分からないことをそのままにしておかないこと。覚えなければならないことは山ほどあります。一つひとつをその場で正確に理解し記憶すること。分からないことは徹底的に聞きまくり、調べまくることです。
 次は新人に限ることではないですが、勉強する、調べる、体験する、見学する、本を読む、技術のこと、ビジネスのこと、経済のことなど、ありとあらゆることを学習し、多くの言葉を覚えると同時に自分の脳みそに大量のファイルを蓄積すること。物事を考える際には言葉で、日本語で考えます。正確な言葉をたくさん理解していることで質の高いことを考えることができるようになります。これに加えて、思考を手助けしてくれるのが自分の脳みそに蓄積された多くの情報ファイルです。言葉と情報ファイルを豊かにするには、脳が若々しい時期が圧倒的に有利です。頑張ってください。

 もう一つ大事なことを付け加えると、少し長期的なことになりますが、少なくとも3年は仕事を選ばず、目の前の仕事を遮二無二片づけることです。仕事が何たるかを理解しないうちに仕事をあれこれ選ばないこと。仕事は3年あるいは5年も経験することで、仕事にもよりますが、独り立ちできる水準に達します。そこへの達成を見極めたうえで次の異なる仕事を経験し、また何年後かに一人前になって卒業する。これを繰り返すことによって経験の幅が広がって自身の情報ファイルは豊かなものになっていきます。豊かな情報に基づくアウトプットは、きっと他を圧倒するでしょう。

 昨今、外国からの旅行者が急激に増加しています。日本の食文化の素晴らしさ、日本の自然の美しさ、日本人の心根の優しさ、日本の社会の清潔さなど、そうしたことに全世界の人たちが気づき、それを見聞すべく人々が押し寄せています。こうした日本の素晴らしさも我々の努力によってはじめて実現できているものです。こうした日本の文化、社会の素晴らしさを維持し、更に高めて行くことを若い世代の皆さんに期待します。

2016年4月19日

■本コラムを執筆したのは

株式会社ソフテス 取締役会長 鈴木忠雄
名古屋工業大学経営工学科を卒業後、川崎重工業(株)に入社。1972年にヤマハ発動機(株)へ移り、技術管理部長や舟艇事業部長を歴任。1997年に(株)ソフテス設立に参画し、2000年より代表取締役社長、のちに会長に就任。著書『経営改革のためのERP導入』で「ユーザダイレクト方式」を提唱し、経営・業務に根差したデータ活用の重要性を説き、企業経営の未来を見据えた活動を続けている。

■本コラムを執筆したのは

株式会社 ソフテス 取締役会長 鈴木忠雄

名古屋工業大学経営工学科を卒業後、川崎重工業(株)に入社。1972年にヤマハ発動機(株)へ移り、技術管理部長や舟艇事業部長を歴任。1997年に(株)ソフテス設立に参画し、2000年より代表取締役社長、のちに会長に就任。著書『経営改革のためのERP導入』で「ユーザダイレクト方式」を提唱し、経営・業務に根差したデータ活用の重要性を説き、企業経営の未来を見据えた活動を続けている。