はじめての就活:大学生諸君!

Column No.01

 さくら開花の便りがちらほら聞こえてきます。流石に朝晩はまだまだ寒さが身に沁みますが、青空がまぶしい晴天の日はぽかぽか陽気で春の訪れを感じさせてくれます。さくらの便りと共に菜の花の黄色い姿も目に付きますが、木々の祠からは冬の寒さから解放された虫たちもうごめき始めています。春爛漫、蠢動の季節がやってきました。
 そんなうきうきする時節に、大学三年生は着慣れない黒いスーツを着込んで緊張の面持ちで街のあちこちに出かけて就活に取り組んでいます。昨今の就活はリクルート会社の扇動もあって大変なエネルギーを費やします。何十社という企業に応募することが常態化してしまっています。大学も学生も企業も多大な浪費を蒙っています。雑誌 Wedge 2014 年 4 月号にも同様な特集が掲載されています。一度目を通されては如何でしょうか?
学生諸君にとっては一生を左右する就活です。そんな彼らに何かアドバイスできることはないかといろいろ考えてみましたがいくら考えても決定的なアイデアは生まれてきません。どんな会社が、どんな仕事が合っており、どうすれば効率的に仕事にありつけるのか、虫のよい方法は見つかりません。両親、姻戚などに強烈な縁故でもあればそれをフルに活用することが最善でしょうね。希望の企業の、希望の仕事を求めてどんな会社へ応募すれば良いのか思いつくままに書き記してみました。お勧めは、できるだけ大企業か、ソフテスに就職することです。

( ア )
やはり、大企業は仕事に対してはきちんとしています。その環境で自身の仕事に対する基礎的な知識、姿勢、価値観を身に着け、自分の標準にすることです。仕事の仕方や仕事に対する価値観は、社会人になって最初に仕えた上司に大きな影響を受け、これが生涯に渡って続きます。大企業に入社することは大きな難関ですが、挑戦するだけの価値があります。
( イ )
挑戦するなら成功の可能性のあるターゲットを狙うべきですね。大企業といってもぴんからきりまであります。自分の能力に照らし、相応の大企業をターゲットにしましょう。挑戦しても討ち死にするだけの企業は対象から外しましょう。
( ウ )
また、もし有れば縁故をとことん活用しましょう。これ以上有力な武器はありません。遠慮することなく使うことです。やせ我慢して独力で頑張っても討ち死にしていては何にもなりません。誰も救ってはくれません。

そうは言ってもこんな会社は避けましょう。そこには悲惨な結果しか待っていません。

( ア )
新入社員の近親者、友人などの身内への営業をあてにする会社
( イ )
自分の能力に対して不釣り合いな単純作業をさせる人材浪費型企業
( ウ )
社員を顧客企業へ派遣常駐させ労働の対価を搾取する会社
( エ )
30歳か35歳くらいまで働かせてその後は見捨てる会社
( オ )
自己の利益を優先し、顧客を食い物にする会社
( カ )
社員を遠隔地に自在に転勤させ生活や人生を破壊するグローバル企業
( キ )
社員の大半が非正規社員の会社

 いろいろ書きましたが、これと言って参考になることも少ないと思いますが、勘弁してください。大学生がまだ三年生のうちから、何十社という企業に手当たり次第に応募させることをそそのかす求人紹介会社の扇動に乗らず、きちんとした応募、試験、面接に対応できるように五社、六社くらいへの応募に学生諸君が足並みを揃えることが、就活の健全性を保つ秘訣と思います。むやみやたらな応募はやめて、グッと絞り込んだ就活をしていきましょう。小生の時代の就活は、大学の先生から紹介状を貰って受験に行くだけで誰も希望の企業に就職することができました。就活などという言葉すらありませんでした。IT 時代が生んだ魂のこもらない情報のやりとりは、決して人生を、社会を豊かにするとは思えません。是非、魂のこもった就活に取り組んでください。
 本気でうまいものを食わせてやるぞ!というステーキハウスの大将、痛いところを本気で治してやるぞ!というスポーツトレーナー、被災者をとことん救うぞ!という自衛隊、みな輝いています。損得考えないで本気で良い仕事、勉学に励んでください。輝かしい未来が待っています。

2014年3月27日

■本コラムを執筆したのは

株式会社ソフテス 取締役会長 鈴木忠雄
名古屋工業大学経営工学科を卒業後、川崎重工業(株)に入社。1972年にヤマハ発動機(株)へ移り、技術管理部長や舟艇事業部長を歴任。1997年に(株)ソフテス設立に参画し、2000年より代表取締役社長、のちに会長に就任。著書『経営改革のためのERP導入』で「ユーザダイレクト方式」を提唱し、経営・業務に根差したデータ活用の重要性を説き、企業経営の未来を見据えた活動を続けている。

■本コラムを執筆したのは

株式会社 ソフテス 取締役会長 鈴木忠雄

名古屋工業大学経営工学科を卒業後、川崎重工業(株)に入社。1972年にヤマハ発動機(株)へ移り、技術管理部長や舟艇事業部長を歴任。1997年に(株)ソフテス設立に参画し、2000年より代表取締役社長、のちに会長に就任。著書『経営改革のためのERP導入』で「ユーザダイレクト方式」を提唱し、経営・業務に根差したデータ活用の重要性を説き、企業経営の未来を見据えた活動を続けている。