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ソフテスコラム

第88回「大家族」

先日所用でマレーシアのクアラルンプールに出かけ4、5日滞在してきました。予想はしていましたが、日中は37度の酷暑の世界でした。流石にオフィスやお店に入ると冷房が効いていて熱帯地方に来ていることを忘れました。4、5日の滞在では、たいしたことは分かりませんが、いくつか印象に残ることがありました。

 

お世話になった方から見せていただいたのですが、春節(中国だけでなくいろいろな国で旧暦のお正月を祝うようです)に祖母を頂点にした一族が集まるとのことで、その集合写真を見せていただきました。それでびっくりです。46歳の祖母以下、76人の大家族です。マレーシアでは家族を大切にするそうですが、これほどの人数になるとお付き合いも大変、知らない人、名前の分からない人なども出てくるでしょうね。そしてもっと驚いたのは祖母の家はこの一族が集まれるだけの広さがあるとのこと。本気で家族を大切に生きる人たちだと感心しました。今の日本で90歳の祖母を頂点にした場合、一族は何名くらいになるだろうか計算してみました。25歳で結婚し、子供を2人ずつ作る。これが今の日本の平均的な姿(現実は結婚年齢はもっと高く、子供数は少ないのではないかと思いますが)とすると、この76人の三分の一の人数にもなりません。20歳くらいで結婚し、それぞれが3人4人の子供を作らないと76人には勝てません。生きることへのパワーの差をまじまじと感じました。

 

日本の少子化の本当の理由は何でしょうか?為政者や専門家があちこちで述べておられますが、どれもピンときません。経済的に貧しいからとか育児を支援する体制が貧しいとか言いますが、日本も3、40年前には今よりもずっと貧しく、託児環境など影も形も無かったと思います。そんな環境で子供は今よりずっと多く、結婚時期もずっと若かったように思います。今と何が違うのか、生きる、生活するということに対するエネルギーが乏しくなってしまっていることだろうと思います。子供を産み育てることは決して楽なことではありません。予期せぬ出来事も甘受しなければなりません。そんなことを考えると気軽に多くの子供を産んで苦労するよりも気楽に生きよう、という風潮に陥っていることだろうと思います。“子供を5人育てています”と言うと、“え!大丈夫?大変ですね”という声が返ってき、“わ~賑やかでいいですね。羨ましいわ”という声は返ってこないですよね。前者のような声が返ってくることが、今の日本人の精神力の状態を如実に表しているのだろうと思います。一方で76人の一族の集合写真を自慢げに見せてくれる人たちのマインドの逞しさ、これに圧倒されます。少子化から脱するには、こうした背景に対する対策を本気で考えることが肝要と考えます。簡単なことではありません。

 

人口は、国力です。中国やインド、ロシア、東南アジアに飲み込まれてしまわないように本気で対策を考えないと手遅れになってしまいます。76人対20人、これが20年も続くと国力は逆転します。アジアの人たちに奉仕することが日本人の日常になってしまわないことを願うばかりです。お気楽な情報、文化があふれ過ぎているのでしょうね。

 

 

 

2016年5月17日 株式会社ソフテス 取締役会長 鈴木 忠雄

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