コラム第3回においてSAP社のSAP ERPを例にとりERPによるSOX法対策に関して書きました。今回はその中で特に業務処理の統制について考察を深めていきたいと思います。
仕入先マスタの登録、変更業務と買掛金の支払業務を例にとりましょう。もし同一人物にこれら両方の権限を与えたらどうでしょう。仕入先に偽装したマスタを登録し、不正送金してしまうリスクが発生します。このような場合、SOX法では不正のリスクに対して内部統制を求めているわけですから、仕入先マスタの登録権限と支払業務権限を承認者もしくは別の業務担当者などに分けるということになります。(SAP ERPで言えば、SAPALLなど全ての権限を与えるなどは論外です。)
ただし、このような場合でも共謀が考えられます。この共謀に対してはSAP ERPがそうですが、誰がそのマスタを登録し、だれが送金処理をおこなったのかを後追い出来る仕組みは必須です。そのような仕組みを作ることで全ての処理の痕跡が残るので、絶対に不正は見つかり、罰せられるという意識を社内に教育し、不正をしない、不正をしてもメリットがないという企業文化を育てることで、リスクを減少させる必要があります。
しかしながら、この社内教育に関しては1つ注意点があります。それは企業内の活気を奪わないようにすると
いうことです。内部統制は得てして管理を強める方向に働きます。不正管理業務として互いを監視するような業務運用をあまりに組み込みすぎると社員の自由な発想が阻害され、やがて企業全体の活力が奪われることに繋がりかねません。
そこでSOX法の対策はもちろんですが、それを大きく支える、経営戦略としてのSAP ERP活用により、あらゆる業務が統合管理されたシステムのもと、常に最善の業務プロセスを模索していく中で、不正の蔓延らないオープンかつ明快で分かりやすく何事にも迅速で一流を求め続ける企業体質を作り上げましょう。
2006.8.25 沖









