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第31回:「最小不幸社会」

 庭に植えた二本のミニトマトが、すくすく伸びて赤い実をつけはじめています。もう一週間も経てば食卓に上りそうです。しかし隣に鎮座するレモンの木は、一向に実りのときを迎えません。この春には沢山の白い花を咲かせて、今年は好物の酸っぱい実が堪能できると期待していたのですが、膨らみ始めた小さな実は、昨日も一つ、今日も一つとことごとく黒ずんで落ちてしまいました。来年に備えて本格的な対策をしなければ・・・

 日経新聞を見ていると、毎日のように日本企業の海外への工場移転や、生産委託の記事が目に飛び込んできます。昨日今日に始まったことではありませんが、こうした生産機能の海外への移転は、国内での“仕事”を海外へ移転するということも意味します。これが長年に渡って継続的に行われることにより、確実に国内での“仕事”が減少し、働く職場がなくなるという結果を招いていると推測します。特に比較的単純な“仕事”への影響が大きいと考えられます。この他にも、業務のコンピューター化、機械化など“仕事”を減少させる要因はいろいろありますが、やはり海外への生産移転の影響は大きいと考えます。

 また、WHOの発表で「日本の自殺率は先進国でトップクラス」というショッキングなニュースを耳にしました。調べてみると、日本はアメリカの2倍、イタリアやイギリスの3倍という数値です。その原因は、就業年齢の20代・30代・40代・50代では「経済・生活問題」で、経済的に追い詰められた状況が容易に想像できます。

 日本の持っている力は、経済的にも、技術的にも、人材的にも世界のトップクラスにあります。にもかかわらず、国内の市井の状況は深刻です。こうした状況から脱皮するには何が必要でしょうか?ワールドカップの岡田監督が必要でしょうか?政治、マスコミ、産業界それぞれのリーダ達が、日本国民の幸せ、幸福を意識した行動をとることが重要な一歩だと考えます。また、何のために経済・社会を成長させるのか、理念を今一度確認する必要があるように思います。明確な指針がないと、個々が個々のための最適化を計る。当たり前のことです。そんな状況の中に説得力のある指針が提示されると、社会はそれを満足させるようにベクトルが揃っていきます。

 経済、財政、社会保障を立て直し、「最小不幸社会」を実現するという菅直人政権の施策に期待したいと思います。「最小不幸社会を実現する」という概念は、具体的にどんな姿なのか、何をすればいいのかをイメージしにくいものです。具体的でわかり易い行動指針、施策が添えられるとベクトルが取りやすいですね。


                                                          2010年 7月 鈴木