花の便りがあちらこちらから聞こえてきます。マスコミの情報、インターネットの情報など、得ようと思えば際限なく花便りが得られます。余りに多くの情報が得られるために、生活と離れたさくらの名所に人々が殺到し、地元の、故郷の良さが霞んでしまうのを感じる度に、日常生活から潤いが少しずつ失われていっているような気がします。
3月27日付けの日本経済新聞の朝刊に、
<「収益性低いパソコン事業」 デルCEO「撤退せず」>
という記事が載っていました。
ご承知の通り、デルといえば世界シェアーNo.1のパソコンメーカーです。情報システムを駆使して、最も速く、効率的なグローバルなサプライチェーンを構築し、デルモデルと言われるビジネスモデルを展開。後発ながらパソコン事業を世界一のシェアーに成長させたことでよく知られています。この記事は、その立役者であるマイケル・デル会長のインタビュー記事です。
この中でデル会長は、「パソコン事業は新興国の台頭で収益の面で難しくなった」「MPU、メモリ半導体、HDDは、パソコンもサーバも共通。最も大量にこれらの部品を使うのはパソコン。パソコン事業があることで規模の経済が働き、全社のコスト競争力につながる」「デルはもはやパソコンメーカーではなくなった。・・ハードからサービスへ、サービスからソリューションへ重点を移し、以前とは違う会社になった」「我々が提供するのは、コスト効率が高く迅速に規模を拡大できる世界標準のソフトとハードを使った新しいシステム」「特定用途に絞ったサーバを毎週毎週数千~数万台ずつ増給できるシステムも提供できる・・」「事業の重点はシフトしたが、パソコン事業は・・今後も続ける」と締めくくっています。
デルのダイナミックな戦略展開は見事としか言いようがありません。採算は厳しくも基盤となっている事業は維持し、それを戦略的な事業競争力の基盤としている点は、素晴らしいと考えます。現実の自社の事業基盤、自社の強みの本質が何かをきちんと意識し、市場の成長、変化を先回りした自社事業の未来の姿を大胆に予測し、それに向かって迷いなく事業をダイナミックに成長させていく・・。分かりやすくて、見事です。
事業、またその事業をはじめとする、自社にとって最も有効且つ有利な未来の姿を正確に描くということは、事業戦略にとって最も重要です。この姿の出来栄えが市場の動向にマッチしていること、自社の強みが発揮できることこそ、大胆な事業運営による成長のキーポイントです。これらの戦略的要素に対して、無難な選択をした場合には、その事業の成長もそれなりのものにしかならないと考えます。とはいっても、最高の事業の未来像を描くことは、誰にでもできるものではありません。それなりのセンスと感性とアンテナが必要です。更に重要なことは、未来像を描きたいという気持ちの強さ、すなわち内圧の大きさだと思います。「事業は何のため、誰のために行うのでしょうか。」「会社の利益のためにだけに行うのでしょうか。」
事業拡張、会社発展のために海外進出し、国内は空洞化し、雇用環境は劣悪なものになっています。国民も日本の経済も疲弊しています。そこで働く人々、生活の利便を受けている人々、そのような人たちのことも積極的に視野に入れた企業経営、事業運営が求められています。今こそ、企業成長だけでなく物事の本質を原点に立ち返って見つめ直すことが必要な気がします。
毎年のことですが、春になるとこころ浮き浮き新たな生命の息吹を感じます。春は何か新しいことにめぐり会えそうな予感がする季節です。
2010年 4月 鈴木








